商品情報にスキップ
1 9

幽玄

幽玄

佐藤豊彦
通常価格 €21,00
通常価格 セール価格 €21,00
単価 €21,00  あたり  item
セール 売り切れ
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。
形式

佐藤豊彦:西洋と東洋の神秘主義に着想を得た、ソプラノ、リコーダー、リュートのための歌曲と器楽音楽

アルバムについて

日本語の「幽玄」という言葉は、通常、「言葉では言い表せないほど深く神秘的な感情的な反応を引き起こす宇宙の認識」と定義されます。

佐藤豊彦は、日本に住み、日本の伝統芸術や茶道に携わっていたここ数年間に主に作曲した自身の楽曲の新しい録音にこのタイトルを選びました。

演奏家、作曲家として、彼は人生の大半をヨーロッパで過ごしました。そして今、キャリアの終盤に差し掛かる中で、東西文化、そして古典音楽と伝統音楽の異文化間の繋がりについて、独自の解釈を示しています。

『YUGEN』には分類しにくい歌やインストゥルメンタル曲が収録されていますが、聴くとさらに美しく感動します。

ミュージシャンたち

山田千代美(ソプラノ)
ウォルター・ファン・ハウウェ – リコーダー
佐藤豊彦 – リュート

リリース日:

カタログ番号: CD-16311

詳細を表示する

アルバムの詳細情報

トラックリスト

「 幽玄 」のトラックリスト

1. ねんねころいち子守唄 奈良地方より (2012) 3:44
ねんねころいち - 奈良地方の子守唄

02. ずいずいずっころばし 東京地方の童謡 (2013) 1:19
ずいずいずっころばし - 東京地方のわらべうた

03. ねんにゃこコロチャコ子守唄(instrumental) (2012) 3:43
ねんにゃこ コロチャコ - 秋田地方の子守唄 / 器楽曲

04. 仙道のヤンマ子守唄 山形地方より (2007) 2:40
せんどのやんま - 山形地方の子守唄

05. 音楽と甘美な詩が調和するなら W. シェイクスピア『情熱の巡礼者』(2004)4:25
音楽と甘美なる詩が一つのものであれば… - シェイクスピア もし~情熱の巡礼者

06. うつろい節 / Floating mind (instrumental) (2015) 3:23
うつろい節 / 器楽曲

07. 私の愛をすべて奪って W. シェイクスピア:ソネット第40番(2012)2:58
わたしの愛も愛することごとく - シェイクスピア~ソネット40番

08. 赤と梅 長崎の年賀詞(2013年)1:55
赤とバイ - 長崎の正月唄

09. 古い踊りによるロンド変奏曲(リュート独奏)(2012)3:29
古代舞曲によるロンド風変奏曲 / リュート・ソロ

10. 吹の曲 (1982) 3:59
蕗の曲 - 古謡

11. あんたがたどこさ 熊本地方の童謡(2012)1:18
あんたがたどこさ - 熊本地方のわらべうた

12. 夏の日にたとえようか? W. シェイクスピア:ソネット第18番(2012年)2:25
君を夏の一日に譬えようか - シェイクスピア~ソネット18番

13. 富山地方のこきりこ節神楽(2011年)2:56
コリコ節 - 富山地方の神楽踊り

14. 種子島の妖怪古謡 (2009) 3:10
ようかい - 種子島古調

15. コチャエ節 江戸民謡 (2008) 2:23
コチャエ節 - 江戸民謡

16. ただよい / 漂流(リュートソロ) (2015) 4:50
漂(ただよい) リュート・ソロ

合計時間 48:47

CDブックレット

佐藤豊彦 作品集 「幽玄」 YÛGEN

歴史的にほとんどのリュート奏者は自分の作品を演奏しました。1500年から1800年までの間に膨大なリュートのソロ曲とリュートを含むアンサンブル曲が作られました。であれば今更新しい曲を作る必要はない、とも言えます。それでもなお、こんな曲もあったらと思うことが時折あります。そこには自分にしか無い発想、あるいは自分なりの夢の実現化の様な作業ができる場があります。

「幽玄」は主に「歌う心」に重点を置く日本のあらゆる芸術分野において根底をなす理念で、「趣が奥深くはかり知れないこと」、
「気品があり優雅なこと」、或いは「言葉に表われない、深くほのかな余情の美」などを意味します。古くは10世紀初頭に紀貫之らによって編纂された「古今和歌集」の序文(真名序)に見られます。その後も12~13世紀の「百人一首」の選者と言われる有名な歌人藤原定家(1162–1241)
も幽玄様を取り上げ、14世紀から15世紀にかけて能楽の大成者である世阿弥(1363–1443)が幽玄の極地を表現しました。世阿弥は初期の作品では幽玄を「可憐(かれん)」と言う意味にも用いています。そして
「和歌(=日本の歌)」は宇宙の声を歌うもので、鳥や虫も和歌を詠い、動物や植物も和歌を作ると言い、多くの素晴らしい能の作品や芸術論で究極の美の心を追求しました。

ヨーロッパにおけるリュート奏者たちがそれに最も近い表現を求めた17世紀、俳諧(俳句)の巨匠松尾芭蕉(1644–1694)は小さな池に蛙が飛び込むのを見て、そこに幽玄の世界を感じました。池よりもさらに小さな金魚鉢の中で、金魚たちは何を思いながら泳いでいるのでしょうか。私は、見方によってはそこにも小さな幽玄の世界を感じ取ることが出来るように思います。
かねてより私は東西を問わず古い文化に興味を持っていました。その歴史と成り立ちを重なる歳と共にある程度理解できるようになると、人類の過去について少なからず自分との何かの霊的な関連性を考えないではいられなくなります。リュートはヨーロッパの16世紀には今のピアノの役割をし、その後も18世紀初頭まで独特の歴史を歩んだ楽器です。17世紀に西洋音楽の主流がバロック時代に入り、より早く、華やかに、大がかりになって行く一方で、音量の小さいリュートはそれ自身の中に閉じこもって行きます。しかし、よく見るとそれは小さな宇宙です。日本の茶道が単に抹茶を点てるだけでなく、小さな茶室に於ける書道、墨絵、立花(りっか=華道)、香道などを含む総合芸術であるように、リュートも身近な所で色々な形の音楽に携わっています。ソロ演奏、歌の伴奏、語りの合いの手、同じ楽器同士の2~4重奏、他の楽器とのアンサンブルなど、いずれも小さな組み合わせですが、色々な可能性があります。

今回録音された作品はリュート・ソロ、歌とリュート、リコーダーとリュート、歌とリコーダーとリュートという4つの異なる組み合わせで出来ています。子供が親の歌う子守歌を聴いて育つのが自然であるように、歌は人間の最も基本的で大切な音楽の表現法です。リコーダーはその名称の由来(ラテン語のricordare)のように、鳥などが囀るのを模倣、再現できる楽器ですから、人間以外の自然界にある歌(響き)を表現出来る大事な道具です。リュートは撥弦楽器なので、一旦弾いた音は消えていきます。しかし、その消える音に強弱、音色の変化、ビブラートを含む音程の変化などの無限のニュアンスを駆使して、演奏する人の霊感を語るための楽器と言えます。同時に、使える指の数に対して弦の数が多く、機能的にはとても制約の多い不完全な楽器です。その制約は、俳句が基本的には5語・7語・5語の範囲内で作られなくてはならないことにある意味で似ています。それでも歌う心がリュートにとって最も大切であることには変わりありません。そういった制約の中でいろいろ工夫をする面白さと言うのもが私の作曲の原点でもあるようです。技法としては14世紀のヨーロッパの対位法に大いに興味があり、そこに限りない可能性を感じます。西洋音楽が確立される前の過渡期の形態です。或いは東洋と西洋との混合の形態と言えるかもしれません。このCDに収録された作品の題材は日本の古謡や能楽曲、わらべ歌、或いは子守歌などから、西洋のものとしては主にシェイクスピア(1564–1616)のテキストが使われています。人生の半分以上をヨーロッパ(主にオランダ)に住んで西洋の古楽に携わって来た経験と、日本での禅茶道と能の研究と実践などとの組み合わせから生まれた、私にしか無い何か、私なりの幽玄の世界がこのCDで表現出来ていればと思います。

佐藤豊彦 2016

記録情報

Recorded October 2015

Location: Kirishima International Concert Hall “みやまコンセール” (Japan)
Balance engineer & recording producer: Jonas Niederstadt
Corporate Design: Tim+Tim, timandtim.com
Cover photography: Marion Denis
Booklet photography: Jonas Niederstadt
Translations: Miki Satoh / Jonas Niederstadt (English),
Jonas Niederstadt (German)

Produced by Jonas Niederstadt

© 2016 Carpe Diem Records

プレスレビュー

音楽雑誌レビュー

佐藤の夢を聴く時、私たちは繊細で繊細な音楽を聴くだろうか。演奏には計り知れない雰囲気と優雅なスタイルが漂っているだろうか。多様な可能性を秘めた世界を聴き、与えられた制約の中で創造することの喜びを少しでも感じることができるだろうか。私はそう思う。楽器は繊細に演奏され、音楽は優雅で、特にゆっくりとした日本の作品には、計り知れない雰囲気が漂っている。多様な楽曲は、限られたアンサンブルで様々な世界を創造する佐藤の技量を如実に示している。この録音から聞こえるもう一つの側面は、喜びだ。3人の友人が共に音楽を奏でる喜び、そして民謡や童謡の楽しい響き。このCDを聴くと、佐藤が私を彼と友人たちの夢の世界へと誘ってくれているように感じる。そこは、居心地の良い場所だ。ノスタルジア誌47号、2017年1月号